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できることをひとつずつ。

動的ルーティング(EIGRP基本設定・動作検証編)

先の更新で概要の学習が済んだところで、GNS3上のルータにEIGRPを設定し動作検証を行いました。

今回のトポロジは下図の通り。
f:id:k-matsuda0901:20160422140642p:plain

各ルータのインターフェイス・VPCSのIPアドレスは手動で設定済。

EIGRP基本設定

R1設定

以下のコマンドでEIGRPを有効化し、有効ネットワーク範囲を指定。

RT1(config)#router eigrp 1 ←EIGRPをAS(自律システム)[1]で有効化

RT1(config-router)#network 192.168.1.0 0.0.0.255
RT1(config-router)#network 192.168.12.0 0.0.0.255 ←RT1-RT2間のネットワーク範囲を指定
RT1(config-router)#network 192.168.13.0 0.0.0.255 ←RT1-RT3間のネットワーク範囲を指定
R2・R3設定

RT2・3も同様にEIGRPを有効化し、有効ネットワーク範囲を指定。

RT2(config)#router eigrp 1 ※AS番号を統一しておかないとEIGRPはネイバーを検出しない

RT2(config-router)#network 192.168.2.0 0.0.0.255
RT2(config-router)#network 192.168.12.0 0.0.0.255 ←RT1-RT2間のネットワーク範囲を指定
RT2(config-router)#network 192.168.23.0 0.0.0.255 ←RT2-RT3間のネットワーク範囲を指定


RT3(config)#router eigrp 1 ※同上

RT3(config-router)#network 192.168.3.0 0.0.0.255
RT3(config-router)#network 192.168.13.0 0.0.0.255 ←RT1-RT3間のネットワーク範囲を指定
RT3(config-router)#network 192.168.23.0 0.0.0.255 ←RT2-RT3間のネットワーク範囲を指定

各ルータの設定が完了したところでRT1のコンソールに戻ると以下のメッセージが…
f:id:k-matsuda0901:20160422142050p:plain

各ルータでEIGRPを設定して相互にネットワーク範囲を指定したことで、DUALがネイバーとしてルータを認識しました。

※アジャセンシー(Adjacency)とは

ネイバー(隣接)であり、実際に経路情報を交換する関係のこと。
上のメッセージでは、RT1とRT2(192.168.12.2)、RT1とRT3(192.168.13.2)が新しいアジャセンシー(New Adjacency)として認識されたことになる。



ここでR1のルーティングテーブルを見てみると…
f:id:k-matsuda0901:20160422142817p:plain

分かりづらかったのでEIGRPで設定されたルーティングのみを見てみると…
f:id:k-matsuda0901:20160422142911p:plain

各ネットワークへのルーティング情報が表示されました。

斜め読みすると、
192.168.2.0ネットワーク(PC2方面)にはRT2を経由するルート
192.168.3.0ネットワーク(PC3方面)にはRT3を経由するルート

が自動設定されているようです。

設定検証

PC1からPC2・3への疎通と経路情報をpingとtraceで取ってみました。結果が下図の通り。
f:id:k-matsuda0901:20160422144413p:plain

ルーティングテーブルの情報通りに疎通が取れていることが確認できました。




2016/04/25 追記

特定経路障害時のEIGRP動作検証

特定ネットワークへの複数経路がある場合に、あるネットワークがダウンしたことを想定してEIGRPの動作検証を行いました。
検証用トポロジは以下の通り。
f:id:k-matsuda0901:20160425124556p:plain

PC1からPC2へアクセスする経路が3経路あります。
RT1で以下のコマンドを入力すると、ネットワークへのサクセサ(最適経路)が表示されます。

R1#show ip eigrp topology 192.168.2.0 255.255.255.0

表示されたコンソールが以下。
f:id:k-matsuda0901:20160425124838p:plain

192.168.2.0ネットワークまでの最小FD値に一致する192.168.12.0経路(RT2経由)がサクセサに選択されています。

PC1からping・traceで確認を取ってみると…
f:id:k-matsuda0901:20160425125010p:plain

確かにTraceの経路はRT2を経由してPC2に到達していました。



そこで、「RT2が何らかの理由でダウンした」と想定して、GNS3上のRT2をストップ。(赤い点がリンクダウンしている部分です。)
f:id:k-matsuda0901:20160425125151p:plain

再度RT1コンソールを見てみると、RT2インターフェイスがダウンしたというメッセージが。
ここでもう一度show ip eigrp topologyコマンドで経路を確認すると…
f:id:k-matsuda0901:20160425125352p:plain

RT2が経路情報から消えています。

この状態でPC1からping・traceを取ってみると…
f:id:k-matsuda0901:20160425125528p:plain

pingによる疎通は変わらず確認できますが、traceの経路情報に変化がありました。
さっきは192.168.12.0ネットワーク(RT2)経由だったものが192.168.13.0ネットワーク(RT3)経由に。

サクセサであったRT2がダウンしたことで、(恐らく)フィージブルサクセサのRT3が使用されているのだろうと判断しました。



「RT2が回復した」と想定し、再びRUN状態に戻してからPC1でPing・traceを取ってみると…
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Trace情報が再びRT2経由のルートを取っていました。



特定ルート障害時のEIGRPの動作がなんとなく分かってきました。