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できることをひとつずつ。

GLBPによるレイヤ3冗長化・ロードバランシング

今回はデフォルトゲートウェイ障害対策として、GLBPによる冗長化と動的ロードバランシングの概要学習・GNS3での検証を行いました。

GLBP概要

GLBPGateway Load Balancing Protocol)
Cisco開発のデフォルトゲートウェイ冗長化を提供するプロトコル

単一のグループに設定した複数の転送ルータを使用して、ロードバランシング(負荷分散)が可能。

GLBPではグループ内で1個の仮想IPアドレス複数の仮想MACアドレスを用意し、ホスト端末からの仮想IPアドレスARPリクエストに対して、複数の仮想MACアドレスで負荷を分散しながら応答する。
これによって、サブネット上のすべてのホスト端末に同じ仮想IPアドレスデフォルトゲートウェイとして設定し、実際には複数のルータによってルーティングすることが可能。

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GLBPが設定されたルータ群をGLBPグループと呼ぶ。
グループは最大4台のルータが設定可能。この設定されたルータをAVFActive Virtual Forwarder)と呼ぶ。

GLBPグループ内では1台のルータをAVGActive Virtual Gateway)として選出する。
AVGは自GLBPグループの管理を行い、
・どのルータがAVFとして転送処理を行うか
・仮想MACアドレスの割り当て
を行う。

また、AVGはホスト端末からのARPリクエスト(通信要求)に対し、複数のAVFに負荷を分散しながら応答する。

ロードバランシング動作

  • ウェイト付きロードバランス(weighted)

各AVFがアドバタイズしているウェイト(重み)によるロードバランス。
ウェイト値が大きいほど負荷が高くなる。

  • ホスト依存ロードバランス(host-depended)

ホストのMACアドレスに基づいて仮想MACアドレスを決定する。
各ホストが使用するデフォルトゲートウェイの仮想MACアドレスが常に同一になるロードバランス。

各ホストからのARPリクエストに対して複数のAVFのMACアドレスが順番に応答されるロードバランス。

GNS3上でのGLBP設定

以下のトポロジでR1-R3にGLBPを設定し、動作を検証しました。

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上図の四角で囲ってある部分以外のIPアドレス、ルーティングはあらかじめ設定済み。

  • RT1設定
R1(config)#interface fastethernet 1/0
R1(config-if)#ip address 10.1.1.201 255.255.255.0
R1(config-if)#no shutdown

R1(config-if)#glbp 1 ip 10.1.1.200
R1(config-if)#glbp 1 priority 200
R1(config-if)#glbp 1 preempt
  • RT2設定

RT1同様、IPアドレスの設定とGLBPの有効化を行いました。

R2(config)#interface fastethernet 1/0
R2(config-if)#ip address 10.1.1.202 255.255.255.0
R2(config-if)#no shutdown

R2(config-if)#glbp 1 ip 10.1.1.200
R2(config-if)#glbp 1 preempt
  • RT3設定

設定はRT1・2と同様。

R3(config)#interface fastethernet 1/0
R3(config-if)#ip address 10.1.1.203 255.255.255.0
R3(config-if)#no shutdown

R3(config-if)#glbp 1 10.1.1.200
R3(config-if)#glbp 1 preempt

あらかた設定が終わると、R1-R3でリンクが取れたようなメッセージが。
RT1コンソール上で以下のコマンドを入力し確認。

RT1#show glbp brief

f:id:k-matsuda0901:20160426175428p:plain

また、以下のコマンドでGLBP設定を確認。

RT1#show glbp

f:id:k-matsuda0901:20160426175514p:plain

斜め読みすると、グループ仮想IPアドレス[10.1.1.200]でRT1-RT3のFastethernet 1/0(トポロジ図の四角で囲った部分)がGLBP[1]に設定されているようです。
ロードバランスの設定はデフォルトのラウンドロビンで検証します。

動作検証

PC1-3コンソールでping・traceによる疎通・経路確認を行いました

  • PC1

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  • PC2

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  • PC3

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各PCのGatewayは10.1.1.200(GLBPグループ[1]の仮想IPアドレス)で統一してありますが、traceの情報を見てみると最初に通過するルータがラウンドロビンロードバランスによって順番に切り替わっていました。


今回の動作検証はここまで。